2001年9月25日:Genève

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旧い街

今回私が手配したスイスの宿4軒のうち後半2軒は旧市街にあります。 (Zürichは到着が遅くなるので空港そば、Grindelwaldは旧市街・新市街の区別以前にそもそも「市街地」のない小さな村)
これはもちろん「ヨーロッパの街並みが見たい」という私の趣味によるもの。 おかげで駅からちょっと遠かったりする不便はまあご愛敬♪

#妹的には違うだろうけど…(^^;;;)

ヨーロッパ旧市街といえばやはり石畳、ひしめき合う旧い石造りの建物たち、曲がりくねる細い坂道ですね(反論却下)
ここGenèveの旧市街もその例にもれず道は三次元的に複雑に絡み合い、現在地の把握はとても難しいです。 (Edinburgh旧市街といい勝負かな…) まあ散歩中に道に迷うのもまた楽し、なのですが。

朝の散策中にも何でもない街角でふいにギリシア神話の神々を描いたモザイク画に出会ったりと古い街の空気を満喫できました。


10:00a.m.にジュネーヴのシンボルである大噴水が吹き上がるのを見届けてから芸術・歴史博物館(le Musée d'art et d'histoire)へ。

この博物館、中世〜近世の日用品、銀食器を中心とした工芸品、そして兵器のコレクションがとても充実しています。特に兵器。
まるで「置き場に困ったので空きスペースにとにかく並べてみた」かの如く小刀から大砲、槍から小銃までずらりと並んでいます。

また時代ごとに貴族の邸宅から移築してきた一角も絵描きとしてはとても参考になります。 実はそっくりなものを以前MünchenのNymphenburgやResidenzで見てます(量・質ともMünchenの方が上か)が、ここでは窓にさり気なく小ステンドグラスが配されていたりするのが目を引きます。 室内が暗い上光沢物なのでうまく写真が撮れなかったのが残念。

○○と煙は…

高いところに登りたがる。
――というわけで(^^;)、Genève唯一最大の展望スポットSt. Pierre教会の塔へ。 (実は宿のすぐ近く) 目が回り、足が疲れる細く急な長い長い螺旋階段を登り切ると、好天にも恵まれたこともあって噴水方面や旧市街方面などが一望できます。

ゴシックの旧い教会なので、歴史ある建築物に惹かれる私は聖堂内も相当見所満載でした。

「教会が一番歴史ある建築」なことが非常に多いこともあって、無宗教なくせにかなりの街で教会巡りしてます(^^;;)。 London, Edinburgh, Brussels, München, Würzburg, Interlaken, Genève, Paris...
まあ、民話や民俗は興味対象なんでひどい違和感はないんですが。

#同じ理由で日本でも神社仏閣を巡ることが多いです。

合流点

St. Pierreの塔で妹と別れたあと私は聖堂巡りとちょっと旧市街探索を続けてから昨夜行き方を教わったJonctionへ。 ここはGenève湖から流れ出すRône川にアルプスの氷河から流れてくるArve川が合流する場所で、地下水ベースで透明な(上からは黒く見える)Rôneとお馴染みGletschermilchで緑に濁ったArveの色のコントラストが大きいので有名なところです。

なかなかに複雑なバス・トラム路線図とにらめっこしたあと(色弱だとこういうとき困る…)逆方向のバスに乗るという小ネタをかましたあとで目指すJonctionのバス停へ。 ちなみにSwiss passを使っているので市内のバス・トラムなども大概乗り放題です。 というかそうでないと慣れない街のバスは怖い…(^^;)

ホテルでもらってきた市街地マップによれば、Jonctionバス停と実際のjonction (合流点)との間にはまだちょっと距離があり、しかも地図に載っている、バス停近辺のどの道もそこに通じていない模様(^^;;)
にもかかわらずこのバス停を目標に選んだのは、この辺りの道のつなぎ方から見て、地図に載ってない小さな道が必ずあるとふんだから。

――そんなこんなでArve川沿いのハイキングコースを歩くこと約30分、合流点直上の鉄橋に到達♪ ここは市街地や道路から隔離された空間でとても静かです。 (併走してる線路を列車が通れば別ですが(^-^;)、あまり頻繁には通らない感じ。)

肝心の川の合流の様子はこんな感じ。確かに見事なコントラストです。
界面をよく見ると、「Rôneの水がArveの水の上にかぶさるように混合していく」こと、さらに合流点の水面下には仕切りよろしく低い突堤が築かれていることが分かります。


絵になりそうな景色をしばし堪能した(湖と反対側の方もなかなか趣深い眺めなのだ)あとで橋を渡り切り、来たのとは反対側の方から再び市街地を目指します。 同じ道をそのまま戻っても面白くないですからね。

――結果、10分ほど歩いたら最寄りのバス停に到着(^^;;)。 言うまでもなくこちらも「地図に載ってない細い散歩道」を抜けるのですが、こっちの方がJonctionよりよほど近いですね。

#まあ地図に載らない道を通るのではどのみちガイドブックとかには載せられませんが…。 交通手段にタクシーしか載ってなかったのも納得。でも実際はバスで余裕(笑)。


ところで、乗った限り電車、トラムのみならず全てのバスが時刻表通りに正確に運行されていたのはびっくり。さすがはスイスというべきか。

チーズはどこへ行った

そろそろお土産用チーズも確保しようかな、と思って市街fromagerie (チーズ屋さんのことです)探索するもやはりこんな大都市の中心近くには日用品店は少なくて、どうにも見つけられないまま再び湖へ。 ちょっと歩いたし、按配よく陽も射してきたので白く輝く噴水の写真など撮りながらしばしのんびり。

――と、近くにいた初老の男性が興味をひかれたのか話しかけてきたのでベンチで談笑。 Genève近郊出身、Zürich在住の弁護士Bertholetさんで、仕事でGenèveにきた帰りだそうな。

当たり障りなく天気の話や(山の方から来た私には暖かかったけど、今日は9月のGenèveにしては寒いらしい)スイスの街の雰囲気(やっぱりGenèveは他の街とは別で、フランスの雰囲気になってるらしい)の話などをひとしきり交わしたあとで(使用言語:英語)

魅: 実は今回美味しいチーズ食べたくてスイスにきたんだけど。

Be: アジアのひとってチーズは食べられない人が多いから珍しいね。

魅: で、さっきからこの辺にfromagerieないか探してるんだけど知らない?

Be: Zürichなら何軒か知ってるけどこの辺はなあ…。
――午後友人に会う予定があるけど、それまでは暇だから探すのつき合おうか。

というわけで案内人ゲット(笑)。
フランス語のわからない私にとって心強い味方です(^^)

#ドイツ語圏よりかなり少ないとはいえ、ここでもちょっと探せば英語の通じるひとくらいすぐ見つかるのですが、今行きたいような「街のチーズ屋さん」で英語が通るかとなるとはなはだ不安なので…。


やはり市街中心部は商業・ビジネス地区で人が住むとこじゃないのでこうした日用品店はほとんどないとのことで私たちはトラムで郊外へ。

道すがらの話題はもっぱらカメラ。「大きい、重い、高いの三拍子揃ったニコン」とかのネタで(^^;)。 ちなみにBertholetさんのカメラは25年選手のOLYMPUSだそうな。――って私のと一緒かも(笑)。

しばらくたって降りたった先は見事に住宅地。日本で私が住んでるあたりを建物を石造りに変えてそのまま持ってきた感じ(^-^;)。 ここから中心街方向にぶらぶら歩き、骨董品店をのぞいたりしながら(Bertholetさんはステッキ収集が趣味)fromagerieを探そうという魂胆です。

ところが通りがかりの人やお店の人に尋ねてみても知らないとの予想外なお返事。 ここなら確実、の肉屋さんでは前は近所に一軒あったけど店たたんだといわれる始末(^_^;;)
道のりは遠い…。


仕方なく再びトラムで舞い戻り、今度は市街中心部の中では一番「下町」っぽい一角へ。
そしたらありましたよいきなり(^^;)。道の脇に埋め込まれたみたいな感じで小さなのが一軒。

店のスタイルはフランスのガイドブックに載ってるようなオープンショーケース(魚屋さんとかデパ地下みたいな感じ。溝の口の「チーズ王国」はじめ日本のチーズ店はたいがいこのスタイル)ではなく、肉屋さん風にショーケースから量り売りする感じ。 これはこれで紛れもない「街の小さなチーズ屋さん」。もしかしたらスイスのfromagerieはこんな感じなのかも。
照明とか売ってるものの色合いのせいで、どことなく「お豆腐屋さん」みたいな印象です(笑)。

店のおじさんには案の定フランス語しか通じなかったのでBertholetさんに通訳をお願いしてチーズ選び。 といってもスイスはフランスほど「多品種少量」じゃないですし、食べ方自体も違う(スイス:食材の一つ/フランス:デザート)こともあってか置いてる銘柄はあんまり多くありません(^^;)

いろいろ味見させてもらったりして、結局gruyere 300gとtilsit 200gを購入。 合計CHF12.80、CHF1=\70として\900弱。日本のざっと1/4くらいかな。安〜い♪
なお、こっちだと量り売りの最小単位は200gです。値段はkg単位で表示されてますし(^^;)


私たちがチーズ選んでる最中におばさんがチーズフォンデュミックス挽いてもらってました。 ちょうどコーヒー豆を挽いてもらうような感じで、ブレンドする銘柄と比率を指定して袋に挽いてもらうんですね(^^)


そのあとは近所のバーでビールをおごってもらい、Bertholetさんが知人の骨董品店を訪ねるのに(これが彼の「用事」)つき合ってお別れ。

別れ近くなってから打ち明けてくれましたが、彼は実はhomosexualで、私に対して声をかけたのはまあ、そういう意図もあったんだそうです。
ある人がhomosexualだからといって特別扱いする感覚は私にはない(私自身にはhomosexualの気はないので共感まではできませんが…)ので、それで互いの気分が害されることはありませんでしたが、ちょっと意表を突かれる真相ではありました(^^;;)

何はともあれ、楽しいひとときをありがとうございました(^^)

余談

Genèveの雀。 異様に丸いです。いいもん食べてるみたい。
跳ねる様子はさながら大福餅がぽてぽて弾んでいるような(笑)。

――っていうかちょっとは野鳥らしく痩せなさい(^^;;;)

#確かヨーロッパイエスズメはすっかり里鳥の日本の雀より野鳥の要素が強かったはず。

ついでに鳩も、迫りくる車をダッシュでかわす体たらく。 ――飛ばんかい(-_-;)

#Genèveほどではないけど、Interlakenの雀もかなり太ってました…。

頭の模様が違う2種類の雀がいたのは若鶏と成鳥の違いなのか、本当に2種いるのかどっちなのか不明。

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