空港そば(市街中心からは離れている)の、食事を売りにしているわけでもないホテルとはいえ、今回の道中唯一の五つ星ホテルだけに朝食ビュッフェに並ぶであろうチーズには密かにかなり期待してました。
なおスイスのホテルの場合星の数は単に客室数を表すだけで、「質」の方は特に関係しません。
果たして食堂にはチーズだけで小テーブル一つ。まな板の上に塊とチーズナイフが置かれ、各自で切り取っていくスタイルです。内訳は:
- 白かびタイプ1:外皮は灰白色でやや厚め。直径20cm、厚さ2.5cmくらいと割としっかりした大きさ。…銘柄は分かりません(^^;)。
結構熟成が進んでいて、脂肪分は少ない感じなのにかなり甘み・コクが強くてとても美味でした。今まで食べた白かびタイプでは一番。
- 白かびタイプ2:純白の外皮、タイプ1よりやや大きくて薄い形。Camembert、かな?
味はオーソドックスな白かびタイプの淡白なもの。万人向けの味。こちらも脂肪分はさほど多くない感じ。
- ハードタイプ1:直径不明、厚さ7〜8cm以上、象牙色の均質な身で内部に大きなチーズアイ。まず間違いなくEmmentaler。
日本で食べた14ヶ月熟成ものよりは香り・味は薄かったけど、「癖がなく馴染みやすいハードタイプ」としていい感じかも。
- ハードタイプ2:直径不明、厚さ10cm以上、やや白身のかった均質な身でチーズアイなし。非常に水分が少なくて、切るというより割れる、崩れるといった感じ。Parmigiano Reggiano、かな?(Grana Padanoかも)
かじるとやはり内部にはアミノ酸の結晶が析出しており、かなり濃厚な旨味があります。粉におろさずに使えるぎりぎりの熟成(脱水)度合いでとても美味。
- ブルー1:直径10cmちょっと、高さも同じくらい。ほとんど白といっていいくらいの淡いクリーム色のしっかりつまった身に、ひびのように埋まるエメラルドグリーンのかび。銘柄不明。
塩味、刺激感、旨味ともかなり主張の強いチーズで、眠い朝にはちょうどいい感じ。「塩の強く効いたRoquefort」みたいな風味。(でも外見は明らかにRoquefortじゃない)
- ブルー2:外見はタイプ1とほとんど同じ。これも銘柄不明。実は別なんだと分かったのは食事を終える直前だったので試せませんでした(^^;;;)。
- シェーブル:直径6cmくらい、長さは20cm以上。銘柄不明。
ほとんどフレッシュタイプに近く、これも切るというよりは崩れる感じ。この酸味はまさしくシェーブルタイプのもの、というさわやかな味。一方臭みとかは弱く普通の牛乳チーズみたいなのでとっつきやすいかも。
スイスのチーズはハード・セミハードタイプが主でそれ以外はあまりないはずなので、この中でスイス産なのはもしかするとEmmentalerただ一つかも(^^;;)。
どうでもいいけど、チーズ以外の献立はハム・ソーセージ類と卵料理がほとんどで野菜が非常に少ないのが気になりました。あと全般に塩味がきついのも。
#こんな食生活でスイスが長寿国なのは信じがたい…(^^;;)。
――の始発駅はLuzern。というわけでまずZürich HB (中央駅)に移動し、Luzern行きの電車が出るまでの約1時間駅前のメインストリート、Bahnhofstrasse(和訳すると「駅前通り」…)をお散歩。
駅舎こそ立派
で、駅周辺には大量の車とトラムが走り回っているものの、100mも歩けばすぐに静かな旧市街
。とても人口100万を越えるスイス最大の都市には見えません。ゴミや落書きもほとんどなくてすごく清潔ですし。
#実は駅以外の旧市街には自動車の乗り入れが規制されているので余計に静かに見えるのかも。
ところで、Zürich Flughafen→Zürich HB、Zürich HB→Luzernで私たちの乗った列車、どうやら近郊区間用によく使われている車両(JR東海道線110系のような…)のようなのですが、とにかくでかかったです
。
この写真だとちょっと分かりにくいですが、ホームの屋根の高さとか一緒に写ってる車両とかと比べてみてください。
以前日本でJR東日本の二階建新幹線Maxに乗ったときにそのサイズに圧倒された覚えがありますが、それと比べてもなお大きい感じ。(乗客のサイズが大きいからかも)
さて、スイス屈指の景勝ルートGolden Pass
のオープニングを走る特別列車Brünig Panoramic Express
はこんな感じの
鮮やかな赤黒ツートンカラーの車両。1等車は座席がよく、窓が大きい代わりに窓は開きません
。
でも2等とはいっても日本の中距離列車グリーン席に近い乗り心地ですよ。
#まあ、そもそも標準軌な分車体も大きいですからね。
終盤まで雨交じりの生憎の天候だったものの、窓外の景色はずっと「絵になる景色」のオンパレード

。
#二つ目の写真で窓の下に見える小テーブルみたいな板には停車駅とその近所の湖や山の名前が書いてあります。
幸い終点Interlaken近くのBrienzerseeあたりから日が射し始め、霧がまさに晴れてゆく絶景を楽しむことができました
。
ちなみに道中は隣席の(というか、最初私らの予約してる席に座ってたんだけど…(^^;;))80代後半の老夫婦との会話に花咲かせていたのであっという間でした♪
フランス語しか話せない元郵便局員の旦那さんと独/仏/英のtrilingualな奥さん、年間約10万円でスイス国内鉄道乗り放題(!)の「シルバーパス」で旅行三昧の日々だそうな。
この中で唯一直接コミュニケーションがとれないのが私(日/英/独/西)とお爺ちゃん(仏)。話は一番合いそうなんですけどね(^^;;;)。
私のカメラ、特にNikon F80Sの方に興味を示して鞄から取り出したのが20年選手の使い込まれたNikon FEかFM(ちょうど銘板のとこにシールが貼られていたので不明)だったりとか…。
そうそう、タイトルの「2374」は私たちの乗ったBrünig Panoramic Expressの列車番号です。
Interlakenから先はいよいよ狭軌の世界
。すでに目が標準軌に慣れてるのか、日本で見慣れた幅のはずなのに妙にちっちゃく見えます(笑)。
まあ山岳鉄道で急カーブを曲がるために一両が短いからというのはあるんですが。(鶴見線支線みたいなもんだな)
目的地Grindelwaldは日本と縁が深く、日本でも有名な観光地だけあり日本人ツアー観光客らしきおじさんおばさんの群れが多数。(もちろん日本人以外にも観光客だらけだけど、数の多さと群れの規模の大きさは圧倒的(-_-;)。)
駅前のメインストリートはただひたすら(日本語表示もそれなりに入った)土産物屋の列でした。うーなんか日本の観光地とそっくり…(^-^;;;)。
宿はこの地域のレストラン案内に必ず出てくるHotel Restaurant Glacier
。駅からはやや離れ、かなり谷に向かって下るところにあるため逆に谷側の景色は最高。部屋の窓から間近にEigerが見えます
。ちなみにここに写ってる側が北(かの有名な「アイガー北壁」)です。
西側に目をやればKleine Scheidegg, Mänlichenそしてその向こうのSchilthornまで澄んだ空気の中くっきりと(^^)
。
#中央の一番高い山がShilthorn。銀塩写真の方では頂上の展望レストランまで確認できます。
晴れている時間は貴重なので日暮れまで外を散策。
#基本的に丘陵・山岳地なので妹は途中で疲れて帰ったけど(^^;;)。
間近に迫る氷河や
なだらかな緑の牧草地からそそり立つ岩塊と呼ぶに相応しい山々、
垂直に切り立つ崖の下を流れるエメラルドグリーンの川(氷河から融け出した水特有の濁りで、Brienzerseeまで至ってもなおこの色。Gletschermilch―氷河のミルク―と呼ぶらしい)など、褶曲山脈+氷河侵食特有の壮大な眺めを満喫できました。
お金を払って階段を上れば氷河下端部に行ける(トンネルが掘ってあって氷河内にまで入れる)のですが、ちょっと時間も遅かったので断念。
それにしてもGrindelwaldでは自転車で走り回る人たちがたくさんいましたが、1,000mを超えた山岳地帯を走り回るその体力には脱帽です(^^;;)。
泊まった宿はそのスイス家庭料理、特にチーズフォンデュの美味なことで有名。ここで食べない手はありませんね☆。
パンのみのもの(これが標準)と野菜&フルーツ、妹と二人で一つずつ頼んで鍋一つで。
…あ、鍋が普通の家で使うようなホーロー引き片手鍋。まさに家庭的な雰囲気(笑)。
どうでもいいけどパンも野菜もすごい量(^^;)。篭いっぱいのパン&大皿いっぱいのじゃがいも。
――このへんで「野菜」といったらじゃがいものことなのね…(^-^;)。
素朴で「家の普段の晩ご飯」的な雰囲気とは裏腹に味は絶品。
基本的にあまり手の込んだ細工、下ごしらえを施しようのない料理だけに、素材(チーズ)の良さが際だちます。
あとの方になってくると煮詰まってきて塩味がきついとか、底の方に焦げついてくるのはやっぱりパンと力業(笑)でこそげとるとか、こんなところもいつも家でやってた通り。うーんつくづく家庭的(^^;)。
使ってるチーズを訊いてみたら「街で普通に売ってるチーズフォンデュミックス(そういうのがあるわけだね)」との答。
あの味はそれだけじゃ出せないような気もするし、旬の、鮮度のいいチーズがふんだんに使えるのなら(あとは火加減と少々の調味加減で)出せてしまうような気もするし…(^^;)。
そうそう、飲み物は日本ではあまりお目にかかれないスイスの白ワインを合わせましたが、ちょうどフランスとドイツの中間くらいでなかなか飲みやすい軽い甘口ワインでした(^^)。